昨夜 NHKの「日本の現場」という番組で
トカラ列島の島々を結ぶフェリーを舞台にした
島を行き来する 人々のことを見た。
「トカラ列島」
お恥ずかしいながら 私はトカラ列島の島々の
はっきりとした位置を 全くわかっていなかった。
長崎の 五島辺りか または瀬戸内海に浮かぶ島々か・・・
私たち沖縄の人間と同じように 米国占領下にあった島々だったとは…。
同じ経緯を辿ったのは 北は奄美大島までのことだと思っていた。
人々の顔は 南の顔をしていた。
私たちの八重山の島々でも
島によって そこの島の顔立ちがあるように
トカラの皆さんのお顔は なんだか私たちと同じ 南の顔に見えた。
異民族の統治下にあったことを意識したから
そう感じたわけでは 決してないと思う。
さて 夜もふけて 鹿児島港を 出港したフェリーは
漆黒の東シナ海を ひたすら南へと進み
宵闇の荒波が明けるとともに 最初の寄港地「口之島」に着く。
鹿児島港を出て 6時間の夜を越え
朝日が昇るのとともに 人々の表情も明るくなったように見えた。
船はさらに 南へ連なる島々を渡る。
トカラ列島は 日本でもっとも長い村でもある。
「口之島」 「中之島」 「平島」 「諏訪之瀬島」 「悪石島」 「小宝島」 「宝島」
列島最南の島 「宝島」に着くのは 午後1時前。
鹿児島港を出てから 13時間の船旅である。
島に転任してきた先生の 理想の教育を胸に抱き 熱く語る顔。
迎える島の子どもたちの 校歌斉唱の まっすぐな声。
家族と離れ 一人で島のホームステイに挑む 中学生の女の子。
夫の反対を受けながらも 仕事と子育ての両立を試みたいと
島の施設に 赴任希望を出した 看護士さん親子の新しい出発。
日本は 離島の多い国だけど
この島々は 離島の中の離島…
でも それゆえに 熱く結ばれている つながっている何かを感じる。
小さな島で 生活していく 「生きる・活きる」という力。
つよくて そしてあったかくて やさしい力を感じた。
私たちと同じように 島の生活であっても
私の暮らす島より 決して便利じゃないだろうし
決して情報は豊かじゃないだろう。
でも なんだか 私はどこかで置き去りにしてきたような 何かを
突きつけられたような 気がした。
あの漆黒の東シナ海を渡る あの船のように
そこに生きる人々の目は たくましく やさしい目をしていたように思う。