4月8日のできごとだった。(その日の詳細は「初体験」にて)
私は 左足の太ももを 犬に咬まれた。
犬に咬まれる という初めての体験をしてから
もうそろそろ3週間になるが いまだに私は病院通いをしている。
5月13日には 大きな舞台を控えているので
私の気持ちは 結構焦っていた。
今日も 午後3時に 八重山病院の整形外科を訪ねた。
診てくださっている先生は 小柄でキャシャな体形の
物腰のやわらかい やさしい方だ。
8日の あの時 救急治療室で診ていただいてから
私は その先生に 100%の気持ちをゆだねている。
いや 120%か 200%かもしれない・・・。
さて 今日は そろそろ病院通いも卒業だろう!という気持ちで出かけた。
本を読みながら 待合所で 名前を呼ばれるのを待つ。
コットンのロングスカートに コットンのチェック模様の長袖シャツ。
太ももの治療をしやすいように もうおなじみの このスタイルである。
最近は 脚全体の腫れもひいてきたので
脚を組むことができるようになった。
待合所のベンチシートに座り 脚を組み
最近また読み返している岡本太郎の『沖縄文化論』を
調子よく 読んでいた。
2,3日前までの 嫌な緊張感は もうそれほどない。
まぁ そろそろ 病院通いも卒業だ!
先生とのお付き合いも そろそろおしまいかしら・・・と思っていた。
20ページぐらい 沖縄文化論が進んだところで 名前を呼ばれ
私は しおり代わりにしている西表島の絵はがきをページにはさみ
岡本太郎さんの大きな声を 静かにバッグにおさめた。
腰まわり辺りのシャツを整え 処置室へ向かい
入ってすぐのカウンターテーブルに バッグを置いた。
いつものように 左足太ももの処置がしやすいよう
右手側が壁になるように 枕を逆にして 静かに横になった。
外科的な治療や処置に関して 私は滅法 弱虫・臆病である。
以前にも「初体験!」で書き残したが
切ったり縫ったり というのは どうもダメである。
それにしても とてもおだやかな性格のお医者さまと
私の手を ぎゅっと握っていてくださる看護士さんに
支えられ 助けられてきた。
一時は 正常な右足と比べると 2倍 とまではいかないまでも
左足全体が1,5倍ほどに腫れあがっていた。
だんだんと散っていく内出血のムラサキ色は
まるで 空港の土産物屋さんに鎮座する あの紅芋のタルトのようであった。
それもだんだんと薄くなり 脚の太さも 右足とほぼ同じようになってきた。
2ヵ所 縫合されているうち
1ヵ所はなかなか出血が止まらず 傷口がふさがらない。
先生がおっしゃるには 血栓のあと 中に直径4~5センチほどのポケット
いわゆる空洞かできている とおっしゃる・・・。
「まぁ ちょっと時間かかるかもしれませんが
根気強く なおしていきましょう。
まぁ 肉の盛り上がりは 約1ヶ月ぐらい かかるかなぁ・・・。」
全身の力が 一気に抜けた・・・。
あまりにも想定外の状況に 私はあ然とした。
先生の言葉に続けて 私はゆっくりお尋ねしてみた。
「踊りのお稽古 始めてもいいですか?」
「やめといた方がいいでしょうねぇ・・・少なくとも傷が治るまではねぇ・・・
ばい菌入ったら 大変だからねぇ~。」
すぐに答えがかえってきた。
私の太ももには 今 直径4,5センチほどの
平たい空洞に通ずる穴が一つ あいている。
のぞいてみると 地球の裏側まで 見えるのではないか と思えるほど
穴らしい「穴」が 存在している。
小さいようで 大きいような口から続く 空洞の部屋。
まるで 太ももの中に 目に見えない世界があるようで
そこは異国か 異次元か といった感覚になる。
その異国か 異次元かの 小さくて大きな部屋を
私は太ももに感じている。
日に2回 シャワーで洗浄
ガーゼの角(かど)っこを その穴に差込み
血液を吸い込ませるように閉じる。
その上に もう少し大き目のガーゼを3枚重ね
ホワイトテープ3本で しっかりととめる。
私の太ももの 小さいようで 大きいようなポケットへの
これまた 小さいようで 大きいような口が ガーゼとテープで見えなくなる。
ガーゼの横から 先生が説明するために付けた
黒の油性マジックの点線がのぞく・・・。
ガーゼを取り替える度に その小さな穴に吸い込まれるように
行ったことのない世界が 私の中に広がって にぎやかになる。
そして また ガーゼでふたをすると
扉をバタンと閉めるように
または 観音開きの大きな窓を 両手でぐいっと引き閉めたように
また 静けさが戻ってくる。
異国の友よ 異次元の君よ
どうか お静かに 穏やかになさって・・・
決して 悪さをすることなく
決して 戸惑うこともなく
どうか おとなしく やさしくなさって・・・
お願い・・・ お願い・・・。
今はただ
ただただ 祈る気持ちである。
お初の コメントをいただき ありがとうございます。
うれしいです。
そうなんですか~
ホントに ちょっと最悪な誕生会でしたでしょうね・・・。
特にそこの親御さんは 大変慌てたのでは と思います。
そうなんです。
舞台がありますから そうゆっくり ともいかないのですが
でも 今は 足を治すことだけに 気を集中させています。
名護からのパワー いただきま~す!
ありがとう☆
投稿情報: oto | 2007.05.01 23:58
太ももに 「穴」。
タイトルから凄さが感じました。
先日、言ってました件ですね。
以前自分も、犬に噛まれたことがありますので、少しだけお話させて下さい。
あれは、小学校一年の頃、友達の誕生日会での出来事です。
プレゼント交換中に、いきなり友達の飼っていた犬が暴れだし、自分の腕に「ガブリ」と噛みついて来ました。
慌てた友達の親が救急車を呼び病院へ・・・
当時は、「狂犬病」?とか意味知らないし、訳が分からないまま病院で治療
友達には悪いが悲惨な誕生会だったと思う。
翌日から犬恐怖症となり、皆が、かわいいと思う犬でもNGでした
現在は、特に友達の誕生会にも行ってません(呼ばれないけど)し、犬に対して何もありません
では、まだ、安静にしないといけませんね
舞台もありますかね、少しくらいは・・・
早めの完治することを、沖縄(名護)から願っておきますね
お大事に。
投稿情報: ふく | 2007.05.01 23:44